「防災講演の講師を探すよう言われたが、何を基準に選び、何を伝えればいいのか分からない」。学校の防災担当の先生から、毎年この時期にこうした相談をいただきます。この記事では、学校の防災講演を講師に依頼するときに、担当者が確認しておきたい5つのことを整理します。
学校の防災講演の講師依頼で最初に決めること
講師を探す前に決めておきたいのは、「誰に、何のために」講演をするかです。児童生徒向けなのか、教職員向けなのか、保護者も含めるのか。命を守る行動を教えたいのか、学校の防災体制を見直したいのか。ここが曖昧なまま依頼すると、講師は一般的な話しかできず、聞く側は「いい話だった」で終わってしまいます。
私の経験では、依頼の段階で目的がはっきりしている学校ほど、講演後の変化が大きいと感じています。以下の5点は、そのために確認しておきたい項目です。
確認1・2:対象と、学校が抱える具体的な不安
小学1年生と6年生では、話す言葉も内容もまったく変わります。全校集会なら低学年に合わせつつ高学年にも問いを投げる構成が必要ですし、学年別なら深い内容に踏み込めます。講師に「対象は1〜6年生、約400名、体育館」と具体的に伝えるだけで、講演の質は変わります。教職員向けの場合は、管理職と若手の割合も伝えておくとよいでしょう。
次に、「うちの学校は川が近い」「校舎が古く、耐震工事は済んでいるが什器の固定が不十分」「通学路に土砂災害の警戒区域がある」。こうした学校固有の事情は、講師が事前に知っていれば必ず内容に反映します。逆に知らなければ、一般論になります。依頼時に「特に心配していること」を一つか二つ、率直に伝えてください。
確認3・4:時間・場所・設備と、講師の「話の根拠」
45分か90分か、体育館か教室か、マイクとプロジェクターが使えるか。当たり前のようで、当日に判明することが多い項目です。特に体育館では音が響き、後ろの児童に声が届きません。また、実際に体を動かす内容を希望する場合は、児童が立ち上がれるスペースがあるかも重要になります。
講師の経歴も確認しておきたい点です。防災講演の講師には、研究者、行政職員、消防・自衛隊の経験者、被災経験者など、さまざまな背景の方がいます。どれが正解ということはなく、目的に合うかどうかです。命を守る行動を体で伝えたいなら現場経験者、制度や地域の仕組みを知りたいなら行政経験者が向いています。依頼前に、講師がどのような経験をもとに話すのか、過去にどのような学校で講演してきたのかを確認してください。
確認5:講演の「後」をどう使うか
最も見落とされやすいのがこの点です。講演を聞いた後、学校として何をするか。避難訓練の内容を変えるのか、家庭への配布物を作るのか、教職員の役割表を見直すのか。これを事前に決めておくと、講師にも「講演の最後にこの行動を促してほしい」と依頼できます。
受講者の先生からは「講演後に訓練のやり方を一つ変えたら、子どもの動きが明らかに違った」という声をいただきます。講演は、それ自体が目的ではなく、学校の防災を動かすきっかけです。
依頼前に担当者ができる準備
ここまでの5点を、一枚のメモにまとめてから講師に連絡してみてください。
- 対象・人数・学年構成
- 学校固有の不安と、地域のリスク
- 時間・場所・設備
- 講師に求める経歴と話の根拠
- 講演後に学校として行うこと
このメモがあるだけで、講師との打ち合わせは短くなり、内容は深くなります。明日、まず管理職と「講演の後に何を変えたいか」を5分話すところから始めてみてください。
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