はじめて防災担当になった人が最初の30日でやるべきこと

人事異動で総務に配属され、辞令と一緒に「防災担当もお願いします」と言われた。引き継ぎ資料は分厚いマニュアルと備蓄品のリストだけ。そんな状態で「何から手をつければいいのか」と悩んでいる方に向けて書いています。私は消防やレスキューの現場を経て、今は企業の防災担当者の方と一緒に仕組みづくりをする立場にいますが、はじめて防災担当になった人が最初の30日で「これだけはやっておくとよい」と感じることを順番に整理します。

防災担当がはじめての人が最初に陥りやすいこと

よくあるのは、いきなりマニュアルの全面改訂や備蓄品の買い足しに走ってしまうことです。真面目な人ほど「完璧なものを作らなければ」と考えますが、災害はマニュアルの完成を待ってくれません。最初の30日で大切なのは、立派な計画を作ることではなく「今この瞬間に地震が起きたら、自社はどう動くのか」を自分の言葉で説明できるようになることです。それができれば、足りないものは自然に見えてきます。

最初の10日:現状を自分の目で確かめる

まずは書類ではなく、建物と人を見ることから始めてください。避難経路を実際に歩き、非常口の前に荷物が置かれていないか、階段の照明は点くか、備蓄品はどこに何がどれだけあり、期限は切れていないかを確認します。私の経験では、リスト上は揃っているのに、実際には倉庫の奥で取り出せない状態になっていることが少なくありません。あわせて、前任者や各部署の責任者に「災害のときに一番困ると思うことは何か」を聞いて回ることをおすすめします。この段階で、社内の人と顔をつないでおくことが、後の訓練や協力依頼を格段にやりやすくします。

次の10日:初動の「最初の10分」だけを固める

現状が見えたら、すべてを整えようとせず、発災直後の10分間に絞って確認します。揺れがおさまった直後に誰が安否確認の号令をかけるのか、社長や総務部長が不在のときは誰が代行するのか、集合場所はどこか、負傷者が出たときに救急要請をするのは誰か。この4点が決まっていて、関係者が「知っている」状態になれば、初動の混乱はかなり減ります。防災担当者が一人で全部をやろうとすると、その人がいない日に機能しません。役割は必ず複数人で持ってください。

最後の10日:小さく動かして、味方を増やす

30日目までに、大がかりなものでなくてよいので、一度は実際に「動く」機会をつくってください。たとえば、朝礼の場で安否確認の連絡手段を全員で試してみる、5分だけ避難経路を歩いてみる、といった程度で十分です。動いてみると、必ず想定と違うことが起きます。それを記録して、次の改善点にします。受講者の方からは「完璧を目指さず、まず動いてみてよかった」という声をよくいただきます。防災担当は一人で背負う仕事ではなく、社内に「一緒に考える人」を増やしていく仕事だと私は考えています。

明日やること

  • 避難経路を自分の足で歩き、非常口と備蓄倉庫の状態を写真に残す
  • 発災直後10分間の役割(号令・代行者・集合場所・救急要請)を紙一枚にまとめる
  • 各部署の責任者に「災害時に一番困ること」を聞きに行く

この三つが済んだ時点で、あなたはもう「何から手をつければいいか分からない」段階を抜けています。あとは小さな改善を積み重ねていけば大丈夫です。

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