防災講演を依頼することになったが、講師に何を伝えればよいのか、当日までに何を準備すればよいのか分からない。せっかく予算と時間を使うのだから、「いい話だった」で終わらせず、社内の行動につなげたい。そんな講演を依頼する担当者の方に向けて書いています。私は企業や自治体、学校、消防機関などで講演を重ねてきましたが、同じ内容を話しても、受講者の反応と講演後の変化は準備の質で大きく変わります。ここでは、担当者の事前準備をチェックリストの形で整理します。
防災講演の効果は「目的の言語化」で7割決まる
講演がうまくいかない原因の多くは、講師の話し方ではなく、講演の目的が曖昧なまま当日を迎えることにあります。「防災について何か話してほしい」という依頼では、講師は一般論を話すしかなく、受講者は自分との関わりを見つけにくくなります。逆に、「新入社員に、地震が起きたときに自分の判断で身を守れるようになってほしい」と目的がはっきりしていれば、話の内容も、事例の選び方も、受講者に投げかける問いも、すべてそこに合わせて組み立てられます。
そこで最初のチェックは、目的と「講演後に変わってほしいこと」を言葉にすることです。なぜ今この講演をやるのかを一文で書いてみてください。訓練の参加率を上げたい、備蓄の必要性を経営層に理解してもらいたい、現場のリーダーに初動の判断力をつけてほしい。目的が複数あるなら優先順位をつけます。そのうえで、「講演のあとに受講者にどんな行動をとってほしいか」まで決めておくと、講師との打ち合わせが具体的になります。
チェック2:講師に渡す情報を揃える
講師が受講者に合わせて話を組み立てるためには、いくつかの情報が必要です。受講者の職種・年齢層・人数、これまでの防災の取り組みと課題、事業所の立地とハザードの特徴、過去に社内で起きたヒヤリとした出来事、そして経営層が防災をどう捉えているか。守秘の範囲で構いませんので、こうした情報を事前に共有していただけると、講演は一般論から「この会社の話」に変わります。私の経験では、この打ち合わせに30分かけるかどうかで、受講者の反応は明らかに違います。
チェック3:受講者への事前案内と当日の環境
受講者に「なぜこの講演を聞くのか」を事前に伝えておくことも大切です。案内文に、講演の目的と、講演後にやってほしいことを一行添えるだけで、聞く姿勢が変わります。当日の環境では、参加者同士が話し合える座席配置、講師と受講者の距離、マイクや映像の確認、時間配分に質疑応答を含めるかどうかを確認してください。可能であれば、経営層や責任者の方に冒頭で一言話していただくと、講演の位置づけが受講者に伝わります。
チェック4:講演後のフォローを先に決めておく
講演の効果を最大化するうえで、私が最も重要だと考えているのは講演後です。感想を集めて終わりではなく、講演で出た「明日やること」を訓練や社内ルールにどう反映するかを、講演前に決めておいてください。たとえば、講演の翌月に短い訓練を予定しておく、感想の中から取り組みたい意見を三つ選んで経営会議に報告する、といったことです。受講者の方からは「講演の内容がその後の訓練につながって、初めて自分のこととして残った」という声をいただくことがあります。
明日やること
- 講演の目的と「講演後に変わってほしい行動」を一文ずつ書き出す
- 講師に共有する情報(受講者像・課題・立地・過去の出来事)を一枚にまとめる
- 講演後のフォロー(翌月の訓練、感想の活用方法)を予定に入れる
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