元請と協力会社で「共助」の安全文化をつくる|現場全体で想定外を減らす方法

「協力会社ごとに安全のレベルがばらばらで、現場全体をどう底上げすればいいのか」。統括安全衛生責任者の方から、よくいただく相談です。元請が指示を出し、協力会社が従うという関係だけでは、想定外の事態に現場は対応できません。この記事では、協力会社の安全教育に「共助」の考え方を取り入れ、現場全体で想定外を減らす方法をお伝えします。

協力会社との安全教育がうまくいかない理由

多くの現場で、安全教育は元請から協力会社への「伝達」になっています。ルールを説明し、書類にサインをもらい、違反があれば指摘する。この形は最低限の秩序を保つには有効ですが、現場の人たちの中に「自分たちの安全は自分たちで守る」という感覚は育ちにくいものです。私が災害の現場で強く感じてきたのは、指示を待つ集団は想定外に弱く、互いに声をかけ合う集団は想定外に強いということでした。これは建設現場でも同じです。

「共助」とは、隣の職種の危険を自分ごとにすること

防災の世界では、自助・共助・公助という言葉が使われます。自分の身を守る自助、隣近所で助け合う共助、行政などが担う公助です。現場に置き換えると、自助は各社の自社教育、公助は元請のルールと監督にあたります。抜けやすいのが共助、つまり職種や会社の壁を越えた声かけです。鳶が電気工事の作業を見て「上から資材が落ちるかもしれない」と気づいても、他社のことだからと黙ってしまう。この沈黙が、想定外の事故の入口になります。

現場全体で想定外を減らす三つの仕掛け

一つ目は、朝礼や安全ミーティングで「他社の作業で気になること」を言える時間を意図的につくることです。指摘ではなく「気になる」という言葉にすると、言いやすくなります。二つ目は、ヒヤリハットを会社別ではなく現場全体で共有し、誰の失敗かではなく、何が起きたかに焦点を当てることです。三つ目は、元請と協力会社が同じ場で同じ話を聞く機会をつくることです。安全大会や研修を同席で行うと、受講者からは「同じ話を聞いたことで、現場で声をかけるきっかけができた」という声をいただきます。共通の言葉を持つことが、共助の土台になります。

元請が「言いやすい空気」をつくる責任

共助の文化は、協力会社に「協力し合ってください」と言うだけでは生まれません。元請側が、指摘された内容を評価に結びつけない、声を上げた人をその場で認める、報告があった件は必ず結果を返す。こうした姿勢を続けることで、初めて現場に声が出るようになります。私の経験では、想定外に強い組織は例外なく「悪い知らせが早く上がる組織」でした。悪い知らせを歓迎する態度は、統括安全衛生責任者が自らの言動で示すしかありません。

明日からできる協力会社との共助づくり

まず、次の安全ミーティングで「他社の作業で気になったこと」を一人一つ挙げてもらってください。次に、ヒヤリハットの様式から会社名の欄を外し、現場全体の学びとして扱う形に変えます。そして、次回の安全大会や研修は、元請と協力会社が同じ会場で同じ話を聞く形にできないか検討してください。協力会社の安全教育は、教える相手ではなく、共に守る仲間をつくる仕事です。

関連サービス

当センターでは、元請と協力会社が同じ場で学び、共助の安全文化を育てるための企業向け防災・危機管理研修を行っています。講演・研修のご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

講演・研修のご相談はお気軽に

内容・日程・ご予算に応じてご提案いたします。まずはお問い合わせフォームまたはお電話でご連絡ください。

お問い合わせフォームへTEL 03-6432-1171(平日 9:00〜18:00)
電話で相談 フォームで相談