長野県の災害特性と県庁が準備すべきこと|内陸活断層地震・御嶽山等の火山・土砂災害・豪雪への備え

長野県の災害特性:広い県土と高い山が生む「同時多発」

長野県の危機管理担当の方から、「県土が広く、北と南で災害の種類が違うため、本部から現場が遠い」という声を伺います。この記事では、長野県の災害特性を整理し、県庁が発災前に準備すべきことを5つの観点でまとめます。

長野県は南北に長く、県内に複数の盆地と山脈が並びます。糸魚川−静岡構造線断層帯をはじめ内陸活断層が多く、長野県神城断層地震のような直下型地震が想定されています。御嶽山の噴火では多くの登山者が巻き込まれ、突発的な噴火が登山者に与える危険が改めて認識されました。浅間山や焼岳など活動的な火山も抱えています。急峻な山地では豪雨による土砂災害が繰り返され、令和元年東日本台風では千曲川が氾濫し、長野市の市街地が浸水しました。北部は豪雪地帯で、冬の地震では避難所の寒さが命に関わります。軽井沢や白馬などの観光地には国内外から多くの人が訪れ、冬季はスキー客が集中します。県庁のある長野市から南部の飯田まで車で数時間かかり、災害が県内の離れた地域で同時に起きる可能性を前提にしなければなりません。

災害対策本部の設置基準と初動:地域振興局を「前線」に

長野県で私がお勧めするのは、本部を県庁一か所に集中させず、地域振興局を前線本部として機能させる準備です。南部で地震が起きた場合、県庁から現地に到着するまでの時間を考えると、現地で判断できる権限と人員を平時から振興局に置いておく必要があります。火山災害では、噴火警戒レベルに応じて登山規制や避難の判断が市町村と分担されますが、御嶽山のように突発的な噴火では、警戒レベルの引き上げを待たずに救助活動を始める判断が求められます。

市町村・国・自衛隊との連携と受援

長野県は市町村数が全国でも多く、小規模な村では職員が限られます。県として、被災した町村に職員を派遣する手順と、派遣者の候補を振興局単位で決めておくことが実務的な備えです。受援では、中央道・長野道・上信越道と、隣接する県からの複数ルートを設定します。山岳地帯での救助には自衛隊のヘリと県の消防防災ヘリの役割分担が要で、火山ガスや降灰下での飛行制限も含めて、関係機関と手順を共有しておきます。隣接県が多いことは、相互支援の選択肢が多いことでもあります。

要配慮者・孤立集落・登山者への対応

長野県の要配慮者対応では、山間地の集落が道路の寸断で孤立するケースと、登山者・スキー客が山中で取り残されるケースを分けて考えます。孤立が想定される集落と要配慮者の概数、ヘリの離着陸地点を市町村と共有することは基本です。火山では、登山届の情報を救助に活用する仕組みと、山小屋との連絡体制を整えます。冬の地震では避難所の暖房と燃料が最優先であり、豪雪地帯の市町村では避難所自体が雪で使えない事態も想定に含めます。

県民への情報発信と職員の訓練・交代体制

情報発信では、県内のどの地域に向けた情報かを明確にすることが大切です。北部の豪雪情報と南部の土砂災害情報が同時に流れる場合、受け手が混乱しない表現を用意しておきます。観光客や登山者には多言語での噴火・気象情報を届けます。職員の交代体制は、県土の広さから現地派遣が長期化する前提で、振興局と本庁の間で人員を回す計画をつくっておきます。訓練は、火山・地震・水害を地域ごとに設定した図上訓練を振興局単位で行い、本庁との情報のやり取りを毎年確認することをお勧めします。明日できることとして、南部で発災した場合に振興局が独自に判断できる範囲が文書化されているかを確認してみてください。

関連サービス

自治体向けの防災講演・危機管理研修については自治体向け防災講演・研修のページをご覧ください。講演・研修のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。

講演・研修のご相談はお気軽に

内容・日程・ご予算に応じてご提案いたします。まずはお問い合わせフォームまたはお電話でご連絡ください。

お問い合わせフォームへTEL 03-6432-1171(平日 9:00〜18:00)
電話で相談 フォームで相談