受援計画の作り方|応援職員・ボランティア・物資を「受け取れる」体制

自治体の防災担当の方から、「受援計画を作るよう言われたが、何を書けばいいのか分からない」という相談をいただきます。大規模災害では、全国から応援職員、ボランティア、支援物資が届きますが、受け取る側の準備がなければ、支援は現場に届く前に止まってしまいます。この記事では、自治体の受援計画の作り方について、発災後に実際に支援を「受け取れる」体制をつくるための考え方を整理します。

受援計画がないと何が起きるか

私は国内外の災害現場で、支援が届いているのに使えない状況を何度も見てきました。応援職員が到着したが、誰が指示を出すのか決まっておらず庁舎の廊下で待たされる。物資がトラックで届いたが、降ろす場所も人手もなく、駐車場に山積みになる。ボランティアが集まったが、受付がなく、活動先が割り振れない。被災した自治体の職員は、自分たちの対応で手一杯の中、支援の受け入れという新しい仕事を発災後に組み立てることになります。

受援計画は、この「発災後に考える」を「発災前に決めておく」に変えるものです。支援を受けることは、弱さの表れではなく、住民を守るための能力の一つだと考えてください。

受援計画に書くべき要素

  • 受援を統括する担当(受援班)と、その責任者・代理
  • 応援を要請する判断基準と、要請先・要請の手順
  • 応援職員に任せる業務のリストと、業務ごとの受け入れ担当
  • 物資の受け入れ拠点、仕分けと配送の流れ、担当者
  • ボランティアセンターの設置主体(社会福祉協議会など)との役割分担
  • 応援者の宿泊、食事、活動拠点、駐車場の確保

計画の核心は、「誰が受け入れの責任者か」を決めることです。応援職員に「とりあえず手伝ってください」と言うのは、受け入れではありません。受援班の責任者が、到着した応援を業務に割り当て、報告を受け、交代を管理する。この機能を担う人と代理を、名前で決めておいてください。

応援職員を「使える」ようにする業務の切り出し

応援職員が力を発揮できるのは、業務が切り出されているときです。避難所の運営、罹災証明のための被害認定調査、物資の仕分け、電話対応、避難者名簿の入力など、外部の人でも手順書があれば担える業務を、発災前にリストにしておきます。逆に、地域の事情や住民との関係が必要な業務、意思決定に関わる業務は、自前の職員が担います。

私が勧めているのは、各業務について「応援者用の1枚手順書」を作っておくことです。到着した応援職員に手順書を渡し、担当者を一人つけて始めてもらう。これだけで、受け入れの手間は大きく減ります。

ボランティアと物資の受け入れ

ボランティアの受け入れは、多くの地域で社会福祉協議会が中心となって災害ボランティアセンターを設置する形が取られています。自治体は、センターの設置場所、行政からの情報提供、ニーズの共有方法を、発災前に社協と決めておきます。

物資については、個人からの小口の支援物資を受け入れるかどうかを、発災前に方針として決めておくことが要です。善意の物資は仕分けに大きな人手を要します。受け入れる場合の拠点、受け入れない場合の広報の文言まで、あらかじめ用意しておいてください。

訓練でしか分からないこと

受援計画は、作っただけでは動きません。近隣自治体や協定先に応援職員役を依頼し、実際に受け入れる訓練を行うと、拠点の広さ、駐車場、通信、宿泊など、紙の上では見えない課題が出てきます。受講者からは「受け入れ側の準備がこれほど必要だと思わなかった」という声をいただきます。年に一度でも、受け入れる側の訓練を計画に組み込んでみてください。

関連サービス

日本防災教育訓練センターでは、自治体の防災担当者向けに、受援体制の構築と災害対策本部運営をテーマにした自治体向けの防災研修を行っています。講演・研修のご相談はお問い合わせフォームからお願いいたします。

講演・研修のご相談はお気軽に

内容・日程・ご予算に応じてご提案いたします。まずはお問い合わせフォームまたはお電話でご連絡ください。

お問い合わせフォームへTEL 03-6432-1171(平日 9:00〜18:00)
電話で相談 フォームで相談